極度のあがり症の体験談 中学生時代 どうしてもあがり症が治らない頃
中学生(;。 ;) 自意識が芽生えた時SADにはまっていくトラウマが起こり続ける…
女の子を意識する年頃だった。自意識もどんどん芽生えていった。急にませた友達もいた。
小学校の時とても仲が良かった吉田は女の子とべたべたするようになった。
その変化にショックを少なからず覚えた。
また奴は僕のことを疎外し始めた。まわりのうち解けていた友達も急によそよそしくなった。
それは自意識が芽生え、皆大人になっていく時のよくあること、だったのかもしれない。
でも、なぜか心の中に不安がよぎった。
生きづらさや胸苦しさを初めて感じた。なんか違うな、と感じた。
そのよそよそしくなっていく友達にあわせようと、無理をした。だから窮屈だった。
でも、離れていって欲しくなかった。
女子とも昔のようにしゃべれなくなった。なにか怖い生き物のように感じ始めた。昔は分け隔てなくしゃべれていたのに。
そんな状態で、中学も1年、2年と過ぎていった。
大問題が起こったのは中学3年の忘れもしない秋頃だった。
僕はどんどん、昔のような明るさやのびのびとした気持ちはなくなっていき、憂鬱が多くなっていった頃だ。
昔の僕を知っている奴らも、そんな僕のことを不思議がった。サト子も吉田も同じクラスだった。
昔のようにしゃべれなくなっていた僕は、昔のように楽しくしゃべろうと試みた。
その強い自意識と良く思われようという頑張りの姿勢をむき出しで、二人の会話に割り込んだ。
そのとき吉田が、 「お前、つまらなくなったな」とか「どもってるぞ」といって笑った。
人から悪口や嘲笑されたことがなかった僕は、異常なショックを受けた。しかも、サト子も笑っていたのだ。
笑うだけなら、僕も忘れることができたかもしれない。サト子は、僕の口調をまねしたのだ。
良く喋っていたが、決して舌回りがなめらかではない僕だった。
でも、それをはっきり、笑いの対象として見られていることをまったく意識していなかった。
だから、マネされて笑われたこと、しかも昔親しかった二人にやられたことは、この上ない異常な衝撃だった。
頭をなにかで殴られた気がした。殴りたかったし、犯してやる、とまで思った。でも、当然できなかった。
吉田とサト子はつきあい始めた。彼らが怖くてたまらなかった。彼らの前で心が萎縮したし、異常な緊張感を持ってしまった。僕はすっかりうつ状態だった。
それからいつも、自分の口調、話し方を考えていた。それほどおもしろい笑いの対象となるしゃべり方なのか?
レコーダーを買ってきて、自分の声を録音し、聞きたかった。
でも、万が一、自分でも変なしゃべり方をしているとわかると、もう一生立ち直れない気がした。
コンプレックスが一生ついて回ると思った。
カラオケにも行けなくなった。誘われても、絶対断った。本当はカラオケをみんなとしたかったし、わいわいやりたかった。
意識したくないけれど、勝手に意識する心が暴走して、とことんまで、人の目が気になりはじめた。
人からの視線や評価も怖かった。声を出すことすらはばかった。
いまもクラスのどこかで自分を笑いものにしている、と思い始めた。
みんな僕のことをのけ者にしているんじゃないかと思い始めた。
たとえば授業中トイレに行く、という目立つ行為をすると、みんな僕がいなくなった後に、ひそひそ、いやあからさまに笑いものにするんじゃないか、と怯えた。だからいつも教室にいた。
だけど聞こえてくるのは、僕の名前らしい発音だ。「声」「しゃべり」という声が聞こえてくると、ビクッとなった。
全身が反応した。身の毛もよだつ、そんな状態だった。
その時でも、クラスの発表の時はなぜか自分のしゃべり方を気にしたことはなかった。
でも、社会の地理の教科書を読まされた時だ。あれは忘れもしないブラジルのところだ。僕は教科書を立って読んでいた。とても緊張していた。
ブラジルの何かおもしろい地名があった。僕は思わず読みながら、一人で笑ってしまった。
緊張しすぎると逆に笑ってしまう人の習性があるらしい…
クラス中も僕に反応して笑ってくれることを望んでいた! でも! しらーとした、みんな白い目で僕を見ていた(そうはっきり感じた!)。ひそひそと僕のことを軽蔑するように見て話している女性ともいる。
吉田やサト子もなにか話して含み笑いをしていた。僕はおびえた。すごい失敗をして、恥をかいてしまった。それ以来、当てられるのが恐怖になった。笑ってしまったらどうしようと思った。
そのとき、一瞬僕の中に電撃のように何かが走った。「どもったらどうしようっ!」 そう思った瞬間、次当てられたら最後だと思った。
そして、次当てられてしまったっ! しどろもどろでやっと読み終えた。もう泣きたくて泣きたくてしょうがなかったなぁ。
クラスの奴らに笑ってもらったほうがよかったとおもった。そっちのほうがまだしも気が晴れた。
でもみんなの反応はシラーっとした冷たいものだったから、余計惨めに感じた。もうだめだ、とおもった。
実際だめになってしまった。どうにか中学を卒業した。いやなやつらともおさらばだと思った。
成績は急降下していた。勉強の集中力もなくなり、生きることも疲れてしまった。
いつも声のこと、自分のこと、話し方のこと、クラスメートのこと、嫌われたらどうしよう、笑われたらどうしよう、そればかり考え疲れ果てていた。
高校生へ